将棋の駒は全部で何枚?40枚の内訳と歴史の謎・並べ方を徹底解剖
プロ棋士による名勝負の熱狂やオンライン対局アプリの普及を背景に、世代を問わず盤上での知略戦に熱中する愛好者が増えている2026年。久しぶりに自宅の駒箱を開けたり、新しく購入した駒を盤上に並べたりした際、「あれ、正式な駒の数は全部で何枚だったっけ?」と疑問を抱いた経験はないでしょうか。
私たちが日常的に親しんでいる本将棋の駒の数は、対局で盤上に並べる分だけで全体で40枚、プレイヤー1人あたり20枚を使用します。本稿では、8種類に及ぶ駒の正確な内訳から「なぜ40枚という数に定着したのか」という歴史の真実、チェスとの決定的な違い、さらには駒箱に必ず入っている「余分な1枚の歩」の秘密や紛失時の即座確認法まで、将棋の駒の数にまつわる疑問を徹底解明します。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:本将棋の駒の数は全部で40枚(各自20枚)。歩の枚数18枚をはじめとする8種類の正確な内訳が存在する。
- 要点2:室町時代の「持ち駒再利用ルール」の発明により、数百枚あった大型将棋から現在の40枚へ洗練された。
- 要点3:市販セットが41枚あるのは「予備の歩」が理由。紛失確認のコツや正式な並べ方を押さえれば準備も万全。
【基本知識】将棋の駒は全部で何枚?1人分の持ち分と数え方の基礎
将棋盤を前にして最も基本的な疑問となるのが、「将棋の駒は全部で何枚あるのか」という点です。現在一般的に遊ばれている本将棋の駒の数は合計40枚で構成されています。これを2人の対局者が平等に分け合い、各自20枚ずつの陣容を持って対局をスタートします。
日本語における将棋の駒の数え方は、対局中や日常会話では「1枚、2枚」と数えるのが標準的です。一方で、美術品や工芸品として一式を指す場合には「一組(ひとくみ)」や「一具(いちぐ)」、さらには伝統的な格式高い表現として「一領(いちりょう)」と呼ぶ専門用語も存在します。
盤面には縦横9マスずつの合計81マスが広がっており、初手で並ぶ40枚の駒は盤全体のほぼ半分(40/81)を占める計算になります。この適度な空間の余白こそが、序盤の駒組みから激しい中終盤の攻防を生み出す絶妙な舞台設定となっています。
【完全網羅】将棋の駒セットの内訳と種類一覧|歩の枚数から大駒まで
対局で使う40枚の内訳はどのようになっているのでしょうか。将棋の駒セットの内訳は、役割の異なる8種類の駒で構成されています。それぞれの駒の種類一覧と、各自の持ち駒数および全体の合計枚数を整理しました。
■ 本将棋における駒の種類と内訳一覧
・玉将(ぎょくしょう)・王将(おうしょう):各自1枚(全体で2枚)
・飛車(ひしゃ):各自1枚(全体で2枚)
・角行(かくぎょう):各自1枚(全体で2枚)
・金将(きんしょう):各自2枚(全体で4枚)
・銀将(ぎんしょう):各自2枚(全体で4枚)
・桂馬(けいま):各自2枚(全体で4枚)
・香車(きょうしゃ):各自2枚(全体で4枚)
・歩兵(ふひょう):各自9枚(全体で18枚)
ここで特筆すべきは、前線にずらりと並ぶ将棋の歩の枚数です。1人につき9枚、両者合わせて18枚となり、40枚中実に45%を歩兵が占めています。「歩のない将棋は負け将棋」「一歩千金」という格言がある通り、枚数が多い歩の使いこなしこそが勝敗を左右する鍵となります。
また、これらのうち金将と玉将・王将を除く6種類(飛・角・銀・桂・香・歩)は敵陣に入ることで裏面に書かれた「成り駒(竜王・竜馬・成銀・成桂・成香・と金)」へとパワーアップできるのも、将棋ならではの奥深さと言えます。
なぜ将棋の駒は40枚なのか?歴史の変遷とチェスとの駒数の違い
なぜ本将棋は「40枚」という枚数に定着したのでしょうか。その背景には、日本将棋史におけるドラスティックなルール革命が存在します。
古代インドのチャトランガを起源とする盤上遊戯は、シルクロードを経て平安時代の日本へと伝来しました。初期の「平安将棋」は駒数も少なめでしたが、鎌倉時代から室町時代にかけて、貴族や武士の間でゲームの複雑化が進みます。その結果、駒数が92枚に及ぶ「中将棋」や、130枚を超える「大将棋」、さらには数百枚の駒を要する「大局将棋」など、巨大化の一途を辿りました。
しかし、これら巨大将棋は準備に莫大な時間がかかり、1局を終えるのに数日を費やすことも珍しくありませんでした。そうした中、室町時代末期(15〜16世紀頃)にゲーム史を塗り替える天才的な発明が生まれます。それが「相手から取った駒を自分の戦力として盤上に再利用できる」という持ち駒ルールです。
取った駒が再利用できるようになったことで、盤上から駒が枯渇することがなくなりました。その結果、膨大な種類の駒を配置する必要性が消失し、競技性を極限まで高めた結果として選び抜かれたのが現在の「8種類・40枚」という黄金比でした。これが将棋の駒が40枚に落ち着いた決定的な理由です。
ここで興味深いのが、同じ起源を持つ将棋とチェスの駒数の違いです。チェスは白と黒で各16枚、合計32枚の駒を使用します。チェスには持ち駒の再利用ルールが存在しないため、駒を取り合えば取り合うほど盤上の駒は減り、終盤には数枚の駒でキングを追い詰めるシンプルな構造へと向かいます。一方の将棋は、40枚の駒が盤上と駒台を行き来しながら最後まで循環し続けるため、終盤に向かうほどむしろ複雑さと緊張感が増していくという、世界でも類を見ないゲーム性を生み出しています。
駒箱に入っている「予備の歩」はなぜ存在するのか?真相と製造事情
新しい将棋の駒を購入した際、駒箱を開けて数えてみると「41枚」あるいは「42枚」入っていて、「枚数が合わないのでは?」と戸惑った経験を持つ人も少なくありません。その余分な駒の正体は、文字通り「予備の歩」です。
なぜ他の駒ではなく、歩の予備だけが入っているのでしょうか。理由は明快で、歩兵が最も小さく、最も紛失しやすい駒だからです。18枚もある歩兵は、盤外にこぼれ落ちたり掃除の際に吸い込まれたりして行方不明になるリスクが最も高いパーツです。
さらに、伝統的な将棋駒の職人文化における「木取り(木材の切り出し)」の事情も関係しています。黄楊(つげ)などの銘木から駒の木地を無駄なく切り出す工程において、計算上どうしても小さな端材が生じます。駒師たちはこの余剰部分を歩兵の予備として丹念に彫り上げ、購入者への配慮として同梱する習慣を何世代にもわたり受け継いできたのです。
「王将」と「玉将」の違いとは?格上・格下のマナーと役割
将棋の駒をよく観察すると、片方には「王将」、もう片方には「玉将」と書かれていることに気づきます。駒の内訳としてはどちらも同じ最高位の駒ですが、そこには伝統的な身分序列と歴史の物語が隠されています。
意外にも、歴史的に先に誕生したのは点のない「王」ではなく、点のある「玉将(ぎょくしょう)」でした。古代において玉(宝石)は宝物を意味し、金将・銀将と並ぶ財宝の象徴として名付けられたとされています。後に豊臣秀吉の時代、国の頂点に立つ「王」の文字を好んだことから「王将」が作られ、現代のように一対で使われる形式が定着したという説が有力です。
現代の対局マナーにおいては、明確な使い分けのルールが存在します。
・王将:上位者(段位が上の棋士、先手、年長者)が使用する
・玉将:下位者(段位が下の棋士、後手、年少者)が使用する
プロの公式戦や道場でも、初座の挨拶とともに上位者が王将側の盤前に座るのが正しい作法とされています。駒の文字一つにも、礼節を重んじる日本の精神文化が息づいています。
将棋の駒が足りない時の確認法と正式な並べ方(大橋流・伊藤流)
片付けの最中や対局前、「駒が足りないかもしれない」と感じたときは、効率的に枚数を確認する手順を知っておくと慌てずに済みます。
■ 駒が足りない時の迅速な確認法
1. 歩兵を最優先で数える:紛失の9割は歩です。まず歩を山から抜き出し、両者分合わせて「18枚」あるか確認します。
2. 大駒(飛車・角行)の確認:飛車が2枚、角が2枚あるかをチェックします。
3. ペア駒の確認:金・銀・桂・香はそれぞれ全体で「4枚(2ペア)」ずつ存在します。4枚ずつ揃っているかを確認します。
4. 王将・玉将の確認:最後に玉・王が2枚揃っているか確認します。
もし盤上で確認する場合は、正式な将棋の駒の並べ方に従って配置していくのが最も確実です。江戸時代の家元制度から伝わる並べ方には、主に「大橋流」と「伊藤流」の2種類が存在します。
・大橋流(おおはしりゅう):
玉将を中央に据えた後、「金→銀→桂→香」の順で左右交互にバランスよく並べ、最後に飛車・角行、そして歩兵を左から順に広げていく手法。安定感と均整美があり、現在プロ棋士の大半が採用しています。
・伊藤流(いとうりゅう):
玉将を置いた後、金・銀・桂を左右交互に置いた段階で、香車を置く前に先に歩兵を左から並べていく手法。「槍」に例えられる直進の香車を先に立てないことで、相手への敵意を抑える謙虚な心構えを表すとも言われ、一部の棋士に愛好されています。
【将棋 駒 数】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:駒セットを新しく購入したら41枚入っていました。入れ間違いでしょうか?
A1:不良品や封入ミスではありません。前述の通り、市販の将棋駒セットには紛失防止の配慮として「歩兵の予備」が1枚(高級品では2枚)あらかじめ同梱されているのが通例です。対局時には40枚を取り出して使用し、予備の1枚は駒箱に保管しておきましょう。
Q2:将棋盤のマス目81マスに対して、駒が40枚なのはなぜですか?
A2:自陣3段(27マス)×2人分=54マスのうち、初期配置で40マスを占有し、中央の3段(27マス)が緩衝地帯となる設計です。この配置により、初手から相手陣地に直接突入できない絶妙な距離感が保たれ、戦略的な布石を打つ面白さが担保されています。
Q3:平安将棋や中将棋など、他の伝統将棋の駒数はどれくらいですか?
A3:平安将棋は32枚前後、室町時代に盛んだった中将棋は92枚、大将棋は130枚、最大級の大局将棋に至っては802枚(401枚×2)もの駒を使用しました。これらの大型将棋と比較すると、現行の本将棋(40枚)がいかに洗練され、無駄を削ぎ落とした競技システムであるかがよく分かります。
まとめ:40枚の駒が紡ぎ出す無限のドラマを楽しもう
本将棋の駒の数は、盤上で躍動する合計40枚。各自20枚という均等な持ち駒から始まり、歩の18枚をはじめとする絶妙な配分によって成り立っています。かつて数百枚にまで膨れ上がった歴史を経て、「持ち駒の再利用」という画期的な発想によって削ぎ落とされた40枚のシステムは、ゲームデザインの観点からも人類史上屈指の傑作と言えるでしょう。
AIの進化が目覚ましい2026年の現在にあっても、この40枚の駒が盤上で織りなす変化の総数は10の220乗とも言われ、その全貌は未だ完全に解き明かされていません。手元にある40枚の内訳と歴史の深みに思いを馳せながら、ぜひ次の対局を楽しんでみてください。 (出典: 将棋 駒 数(Yahoo!ニュース))